ニュース 2019.03.19 小中学校でスマホ解禁?!一方で子どものSNS被害は高止まり
2月19日、文部科学省は小中学校への携帯電話やスマートフォンの持ち込みを容認する方向で新指針の検討を開始した。
スマートフォンなどの携帯端末は現状では「小中学校への持ち込みは原則禁止」「高校は校内での使用禁止」となっているが、今回の見直しの背景には「学校を取り巻く社会環境の変化や児童生徒の状況の変化」があるようだ。
文科省に先行して大阪府が登下校時のスマホ容認を決定
文科省の検討開始に先んじる形で大阪府教育庁は、2019年度から公立小中学校へのスマホ持ち込みを認めることを決定し、2月18日にはガイドラインの素案を市町村教育委員会へ提示している。
ガイドラインの素案は、登下校中の緊急時に限り使用を認めることが明記されるなど防災・防犯を目的としており、校内での使用や緊急時以外の使用は引き続き禁止としている。ガイドラインの正式な決定は3月末となる予定だ。
スマホ解禁賛成の声の裏では否定的なコメントも
小中学校へのスマホ持ち込み容認について、賛成派からは「何かあればすぐに連絡を取ることができて安心」といった声が聞かれる一方で不安の声も少なくない。先生や親の目の届かないところでゲームをやり過ぎたり、インターネット上でのいじめなどを不安視する声もまた根強く存在している。
年間1800人超の子どもがSNS被害に
そして近年、SNSを利用して事件に巻き込まれるケースが相次いでいる。警視庁のまとめによれば、昨年1年間にSNSをきっかけに性犯罪などの被害にあった18歳未満の子どもの数は1811人に上ったという。
前年と比較すると2人減っているがその数は依然として高水準で、小中学生の間に一層スマホが普及することで被害にあう子どもの増大や低年齢化が心配される。
販売業社によるフィルタリング利用の確認義務化も効果は確認できず
こういった現状を受けて、昨年2月には携帯電話の販売業社に対して18歳未満の子どもが携帯やスマホを契約する際に、有害情報の閲覧を制限するフィルタリング機能の利用確認を義務付ける改正青少年インターネット環境整備法が施行された。
しかし、犯罪被害にあった子どもの数は法案施行前の2017年と比較して2人減と横ばいで、効果には期待されていたほどの効果は現れていないのが現状だ。
今後小中学校でのスマホ解禁の議論が進んでいく中、フィルタリングに限らず、学校や家庭内でもスマホの使い方やリスク、使用する際の注意点について積極的に子どもと話し合うことが求められる。
【関連リンク】
・スマホ校内持ち込み容認へ 大阪府がガイドライン素案(産経WEST)
https://www.sankei.com/west/news/190218/wst1902180035-n1.html
・「安全」「悪影響」小中学校へのスマホ持ち込みに賛否両論(産経ニュース)
https://www.sankei.com/life/news/190219/lif1902190043-n1.html
・SNSで性犯罪被害の子ども1800人 高止まり傾向(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20190314/k00/00m/040/078000c
TEXT:セキュリティ通信 編集部
PHOTO:iStock
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